僕らは、いつの間にか出会っていた。そんな言葉で、2人の関係は表せると思う。お互いに、忘れていただけ。でも、その瞬間に、坂野は思い出していた。
僕らは、ずっと前に出会っていた。確か、小学校の6年生の夏。互いに、同じ場所に旅行に来ていたのだ。
「君と、私、出会えたって凄い!」
あの笑顔を、どうして僕は忘れた?
「僕達また会えるよ。絶対、絶対に」
交わした約束を、坂野は覚えていたのだろうか。覚えていたに違いない。
でも、僕らは変わっていった。あの2週間の思い出は薄らぎ、やがて忘れられた。
「本当に、信じられない」
紅茶をゆっくりとすすりながら、唯は何度も首をかくかくと上下させた。唯の髪は、最近ずいぶん長くなった。大人に近づいてるって感じだ。
「私忘れかけてた。和哉との約束。大事ーな約束」
「でも唯は俺より先に思い出しただろ」
「確かに。和哉よりはボケてなかったね」
「ボケてたとはなんだボケてたとは」
静かに、時は流れていた。窓辺を飛んでいく小鳥、木の葉が風にのって奏でるサラサラとした音、時折響く笑い声。優雅な生活とは言ったものだ。
……僕らは約束をもう二度と忘れない。互いの薬指の指輪が、その証明をするだろう。
end.

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