2008年04月22日

純潔少年



夕焼けが、頬にあたって朱にそまっていた。
静かな教室で、机に突っ伏して居眠りしてた君。

白い肌、薄い唇、端正な顔立ち。全てが、私にとっての憧れだった。

「あのさー彼女とか、いないの?」

時々チラッと聞いてみた。でも、すぐに「いるわけないだろ?俺、いままで彼女いたことないから」と笑って流された。



「……起きてる?」

そっと、語りかけてみる。返事はない。居眠りのつもりで、熟睡してしまっているようだ。

――いまなら、ちょっとチャンスかも?脳裏によぎるいけない思考。ダメダメ。そんな事考えちゃ。でも、でも。足は、じわじわと彼の机に向かって行く。

近くまで来ると、彼の寝息がスースーと聞こえてクスリと笑ってしまった。可愛い奴。

今なら、肩を叩いて「起きて」といえば、あっさり起きるかもしれない。でも、顔に落書きしても、起きないかもしれない。


……ばれない、よね。生唾を飲んで、彼の寝顔を見つめた。

まだ、彼は誰ともキスしてないんだよ、ね?心臓が鐘のようにガンガンと鳴り出した。そっと、そっと彼の顔に近づいていく。


そして、軽く、キスをした。



顔が熱くなって、心臓が今にも飛び出しそう。やっちゃったやっちゃった。
でも、彼は気づいてない。よかった。

パッと唇を離し、走り去ろうとしたけどやめた。足音で起こしたら嫌だから。
でも、できるだけ足早に立ち去ろうとした。


「…奪われちゃったな」


ドキ。…それは、教室を出るまであと5歩の時だった。

「俺のファーストキス。やってくれたな」

振り返れない。体の芯が地面に突き刺さったよう。


「こっち見ろよ。責任、とってもらおっかな?」


彼との距離、あと、5m。


end.


Title by…架空少年


ニックネーム 由姫 at 21:06| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】
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