2008年04月15日

それでもキミは振り向かない


「へへ、負けちゃった」

そう言って頭をかいて、苦笑いをしていた。
全国大会出場がかかった決勝戦で、彼女達は敗れた。それも、ボロボロに。

「レベルが違ったんだよ、私達」

彼女はチームメイトを見下ろした。皆崩れ落ちて、泣いている。

「まあ、まだチャンスはあるし。頑張らなきゃね」

「お前な……」

「何よ」

「よく泣かないな〜」

俺がそう言うと、「えっ?」っと驚いた顔をした。が、しかし、すぐニヤニヤと笑い出した。

「だって〜ワタクシは男の子ですもの〜」

「おいおい、冗談言うなって」

「へっへっへ!」

彼女は変な声で笑って、俺にさっと背を向けた。


「……転校、するんだ〜」

その言葉を聞いた瞬間、俺の体は凍りついた。転校、転校、転校……。頭の中にエコーするその単語。

「ま、マジ?」

「うんっ!だから、泣いてお終いはっ嫌なのっ」

彼女は背を向けているから、顔はわからなかった。でも、きっと、笑ってはいないだろうと解っていた。

「さよなら、だよ。皆と。遠いところに行くから」

「…また会えるのか?」

「さあ、わからない。多分、ない」

彼女の口調から、もう彼女がこの地での未練全てを振り切っていることを知った。

「じゃあ、最後に握手でもしよっか」

俺が勇気を出して言うと、彼女はやっと振り向いた。

「OK。わかった」

差し出された手は、白く、細く、温かった。


「バイバイ」



end・


Title by…架空少年







ニックネーム 由姫 at 21:09| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: