「おーい」
手を顔の前でブンブン振ってみせる。
「んー?」
あいつは、ボーっと空を見上げたまま。
「何考えてんだよー」
「あのねー好きな人とデートするならどこ行こうかなーって」
「へぇ〜……」
好きな人…ね。察すれば、俺は好きな人じゃないって事ね。はぁ。
「あ、そうだ。水族館がいーな。水のゆらゆら感がいいし」
そう言って、手首をフラフラとさせる。こいつ、目がだんだん空想の世界に浸ってきてるぞ。
「よし!」
「は?」
「では早速、シュミレーションに出発しよう!いい?『仮好きな人A』!」
「はぁ?」
手首をガシっとつかまれ、そのまま引っ張られるように歩き出す。
…まあ、しかたがない。しばらくは『仮好きな人A』で過ごして、本当の気持ちに気づいてもらえるまで待つか。
それは、程遠い目標だった。
end.
Title by…架空少年

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