2008年04月30日

気になって仕方がない! ――A Side


なんなんだ、なんなんだ。

俺の背中に突き刺さる視線。じわじわとくる熱気。おいおいおい。
なんだよこの視線は。授業に集中できないだろ?

我慢できなくなってガバッと振り向くと、あいつはすぐさま横を向いて「私は今まで窓の外を見ていたのよ?」といった表情。全く……。

始まりは2週間ほど前。どこかから視線を感じるようになったのだ。その犯人があいつ。さっと振り向けばいつも目が合った。
で、最近の席替えであいつは俺の後ろの席になってしまい、ますます視線が感じられるようになってしまったってわけ。

友達は「お前の事好きなんじゃね?」とかなんとか言ってたけど、本当かな?あいつ結構可愛いから、それはそれで嬉しいけどなぁ。

でも、この視線は嫌だな。ああ、なんとかならないのか。
なんでもいいから、この視線の理由をはっきりしてほしい。

このままじゃ、気になってしょうがないじゃないか!



B Sideへ



Title by…架空少年
ニックネーム 由姫 at 21:26| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】

2008年04月28日

5.鈍感




好きだよ

そういつもいつも言ってるのに

返ってくるのはわけわかんないこたえ

へぇ、凄いね、そんな事言っちゃってねぇ

…どっちが!って思うんだけど

怒ったって無駄


彼はずっと窓を見てる

あいつは意識が別世界に飛んでいってるんだよ、と誰かが言ってた

本当かわからないけど


多分違う

意識を飛ばしたふりしてるんだよ、彼は


だからさ

私の気持ちにも気付かないふりしてるんでしょ?

鈍感な人、演じてるよね


……演技なんかしないでよ

私に素直なあなたを見せてよ







ニックネーム 由姫 at 21:42| Comment(1) | 恋で30のお題【詩】

2008年04月24日

距離を縮めたい理由なんか知るかよ


「……何よ」

「え?」

気が付くと、コイツはいつもニコニコして、頬杖をついて私を見ている。
全く、何?何なの?…どうせそう聞いても、別にー?ただみたいから見てるんだしーって言うだけ。

「何してるの?」

「え、本読んでるんだけど?」

見てわかるでしょ。

「そっか、じゃあ俺も本読もう!」

「え?え?何で?」

私の言葉を無視して、あいつは本棚から適当に本を選んで持ってきた。
で、隣の席にどっすん。

「…そこあんたの席じゃないでしょ」

「お前の隣はいつでも俺の席♪だろ?」

そして満面のスマイル。ぎゃあぁ!叫びそうになるのを必死にこらえた。顔が赤くなる。な、な、なんて…なんてくっさいことをこんなにも平気で言えるのか!?それに違うし!

「やっぱ私ついていけない…」

「何が?」

「もういいって……」

なんかこいつの相手していると、疲れるわ。ストレスで白髪が生えそう。






「なあ」

「ん?」

「好きだよ。お前のこと」

「…あのね、ここはクラスメートだらけの教室だっつうの!恥ずかしいから!」

「だってー愛情表現は確実にしていたいだろ?」



また、スマイル。

……しばらくは、この状態が続きそうだ。





end.


Title by…架空少年
ニックネーム 由姫 at 20:24| Comment(1) | 夕立後に会いましょう【短編集】

2008年04月23日



なんとなくだけどさ

水溜りを見ていると

吸い込まれそうになるんだ

空に落ちそうな気持ちになって

背中がゾクゾクしてくるから
ニックネーム 由姫 at 20:59| Comment(0) | ふと、哲学的な一言【言葉】

4.片思い




片思いって何さ?

誰かに聞いてみた


するとその人は言った

好きな気持ちが一方通行になっている事だよ


なんだか腑におちない

それって「思い」が「好き」って気持ちって意味でしょ?


なんで「嫌い」じゃだめなんだろう

「嫌い」が通じない時は片思いって言えないんだろうか


おたがい嫌いあっていたらそれは両思いって言えないの?

そう言っても皆は苦笑いするだけ


だからしかたなく考えている

片思いって両思いってなんだろう







ニックネーム 由姫 at 20:51| Comment(0) | 恋で30のお題【詩】

2008年04月22日

純潔少年



夕焼けが、頬にあたって朱にそまっていた。
静かな教室で、机に突っ伏して居眠りしてた君。

白い肌、薄い唇、端正な顔立ち。全てが、私にとっての憧れだった。

「あのさー彼女とか、いないの?」

時々チラッと聞いてみた。でも、すぐに「いるわけないだろ?俺、いままで彼女いたことないから」と笑って流された。



「……起きてる?」

そっと、語りかけてみる。返事はない。居眠りのつもりで、熟睡してしまっているようだ。

――いまなら、ちょっとチャンスかも?脳裏によぎるいけない思考。ダメダメ。そんな事考えちゃ。でも、でも。足は、じわじわと彼の机に向かって行く。

近くまで来ると、彼の寝息がスースーと聞こえてクスリと笑ってしまった。可愛い奴。

今なら、肩を叩いて「起きて」といえば、あっさり起きるかもしれない。でも、顔に落書きしても、起きないかもしれない。


……ばれない、よね。生唾を飲んで、彼の寝顔を見つめた。

まだ、彼は誰ともキスしてないんだよ、ね?心臓が鐘のようにガンガンと鳴り出した。そっと、そっと彼の顔に近づいていく。


そして、軽く、キスをした。



顔が熱くなって、心臓が今にも飛び出しそう。やっちゃったやっちゃった。
でも、彼は気づいてない。よかった。

パッと唇を離し、走り去ろうとしたけどやめた。足音で起こしたら嫌だから。
でも、できるだけ足早に立ち去ろうとした。


「…奪われちゃったな」


ドキ。…それは、教室を出るまであと5歩の時だった。

「俺のファーストキス。やってくれたな」

振り返れない。体の芯が地面に突き刺さったよう。


「こっち見ろよ。責任、とってもらおっかな?」


彼との距離、あと、5m。


end.


Title by…架空少年
ニックネーム 由姫 at 21:06| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】

2008年04月20日

はちみつビター

それは、口にした瞬間に、ぶわぁっと広がった。

「あ…甘っっ!」

甘すぎて、正直むせそうになる。いつも食べているチョコレートとかとは全く違う種類の、とろりとした濃い甘さ。

「え?そんなに甘い?これ」

サヤは子瓶の側面に張ってあるラベルをまじまじと眺めた。
瓶の中で揺れる、金色の光。とろとろの蜂蜜。サヤが買ってきたものだ。

「そんなに甘い?って……。やばいくらい甘いよ」

「本当?じゃあこれあげるよ」

目を蜂蜜の金色に光らせながら、俺の胸に瓶を押し付ける。そして、俺が受け取ったのを確認すると、そっとその手を離した。まるで、一億円のダイヤを手渡すかのように。

「あ、ありがと。でも、なんで蜂蜜?」

「だってさ。タクはいつもチョコスティック食べてるんだもん。甘いものなら、蜂蜜のほうがいいの!チョコばっかり食べてると、糖尿病になるもん!」

……表情が本気だ。そんなこと考えてたのかよ。こいつ。

「馬鹿だなぁ、サヤは」

「なっなんでよ!」

頬を風船のように膨らませ、不満げな顔をするサヤ。
それをなだめるように、俺は話し出す。

「俺なーチョコが甘いから好きだってわけじゃないんだよ。ビターチョコ。
甘苦いのが好きなの。甘いだけは、そんなに好きじゃない」

「えーー!!」

ナイス・リアクション。肩がストンと落ちて、サラサラの髪が流れ落ちる。
こういうリアクションは、芸人並だと俺は思う。だから可愛くて面白いんだけど。

「まあ、もったいないからちゃんと蜂蜜、食べるよ。しばらくはチョコ謹慎だな」

「本当に!?タク、優しい!」

パッと顔を輝かせ、俺の手をぎゅっと握る。もちろん、蜂蜜も。


「この蜂蜜食べれば、きっと『甘い』だけも好きになるよ。苦味なしで!」


そうだといいけど。



end.


Title by…架空少年
ニックネーム 由姫 at 20:19| Comment(0) | 恋で30のお題【詩】

2008年04月15日

それでもキミは振り向かない


「へへ、負けちゃった」

そう言って頭をかいて、苦笑いをしていた。
全国大会出場がかかった決勝戦で、彼女達は敗れた。それも、ボロボロに。

「レベルが違ったんだよ、私達」

彼女はチームメイトを見下ろした。皆崩れ落ちて、泣いている。

「まあ、まだチャンスはあるし。頑張らなきゃね」

「お前な……」

「何よ」

「よく泣かないな〜」

俺がそう言うと、「えっ?」っと驚いた顔をした。が、しかし、すぐニヤニヤと笑い出した。

「だって〜ワタクシは男の子ですもの〜」

「おいおい、冗談言うなって」

「へっへっへ!」

彼女は変な声で笑って、俺にさっと背を向けた。


「……転校、するんだ〜」

その言葉を聞いた瞬間、俺の体は凍りついた。転校、転校、転校……。頭の中にエコーするその単語。

「ま、マジ?」

「うんっ!だから、泣いてお終いはっ嫌なのっ」

彼女は背を向けているから、顔はわからなかった。でも、きっと、笑ってはいないだろうと解っていた。

「さよなら、だよ。皆と。遠いところに行くから」

「…また会えるのか?」

「さあ、わからない。多分、ない」

彼女の口調から、もう彼女がこの地での未練全てを振り切っていることを知った。

「じゃあ、最後に握手でもしよっか」

俺が勇気を出して言うと、彼女はやっと振り向いた。

「OK。わかった」

差し出された手は、白く、細く、温かった。


「バイバイ」



end・


Title by…架空少年
ニックネーム 由姫 at 21:09| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】

2008年04月08日

3.談笑



君とたまに話す

2人で隣にたって


なんでもかんでも話してみる

成績のこと、変な先生のこと、今日やったヘマのこと


そして時々……タイプの異性の話も


その時さりげなく聞き出そうとする

好きな女の子誰?って


でも君の口はなかなか固い

さあね、と話題を変えてしまう


教えてくれれば

その子との掛け橋になってあげるのにね



end.
ニックネーム 由姫 at 20:25| Comment(1) | 恋で30のお題【詩】

2008年04月06日

空想空間をレイアウト


「おーい」

手を顔の前でブンブン振ってみせる。

「んー?」

あいつは、ボーっと空を見上げたまま。

「何考えてんだよー」

「あのねー好きな人とデートするならどこ行こうかなーって」

「へぇ〜……」

好きな人…ね。察すれば、俺は好きな人じゃないって事ね。はぁ。

「あ、そうだ。水族館がいーな。水のゆらゆら感がいいし」

そう言って、手首をフラフラとさせる。こいつ、目がだんだん空想の世界に浸ってきてるぞ。

「よし!」

「は?」

「では早速、シュミレーションに出発しよう!いい?『仮好きな人A』!」

「はぁ?」

手首をガシっとつかまれ、そのまま引っ張られるように歩き出す。


…まあ、しかたがない。しばらくは『仮好きな人A』で過ごして、本当の気持ちに気づいてもらえるまで待つか。

それは、程遠い目標だった。



end.


Title by…架空少年
ニックネーム 由姫 at 18:00| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】