その歌声は、どこまでも澄んでいた。高く、もっと高く――
『ワタシノナミダヲトメテクダサイ……キミニデキマスカ』
そんな歌詞が心に染みた。彼女はそれを歌っているだけだろうけど、俺は彼女が涙を流したならばに本当に助けに行こうと思ったぐらいだ。
それは、隣町であった有名音楽コンクールでの事だった。
友達のハルキがそのコンクールに出場することになったので、その応援に無理やり連れて行かれたんだ。
元々音楽とかには興味がなかった。まあ、嫌いではなかったけど。でも、友達の晴れの舞台だったから、しかたなく行ったわけ。
そして、彼女を見た。
息をスッと吸った音がマイクに入って、静かなホールに響いて。
……その後は、頭が真っ白になりそうだった。
プログラムの半分を終了させた後のロビーはざわざわとしていた。
俺は、いつのまにかハルキのことを忘れ、彼女の姿を捜していた。
――高く青く光るあの空より――
耳の中に聞こえるか細い歌声。確信があった。
――白い露に濡れて咲く花――
ざわめきの中ではっきりと見据えた白いドレス。
「……その歌、エーデルワイスって言うんだっけ」
俺が言うと、彼女はちょっとおどろいた顔をして俺を見た。
でも、すぐに優しく微笑んだ。
「知ってる?私、この歌好きなんだ」
その時の君は、まさに山の高きに咲くエーデルワイスだったよ。
と、言うのは、あと4ヵ月後の話。
end.
Title by…架空少年










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