2008年07月03日

これって、愛なのかな?


 目の前には、問題集やノートが広がっている。そのうち8割近くは理科であり、あとは数学と少しの英語

「なあ〜やっぱりわからないよ」

ベしゃっとうつぶせになる彼を見て、ため息がでる。

「わからないって言っても、追試はもう逃れられないんだから。もう少しだけがんばろ、ね?」

そう言って励ましてはみるけど、膨れた頬はなかなか空気が抜けない。
彼のふてくされの理由。それは、この前のテストで追試を食らってしまった事だった。彼はそれを知ると、すぐさま私の前に現れた。そして直角に腰を曲げ「俺に勉強を教えてくれ!!」。だと。
 だから今、放課後の教室で教えてあげているわけ。だけど追試を受けるほどあって、なかなか教えた通りに解いてくれない。

「……俺、きっと脳みそが普通の3分の1ぐらいしかないんだよ」

「なに言ってるの?それよりほら、ここプラスとマイナス全部反対」

「えー!」

彼はトンカチで頭を殴られたような滑稽な顔をして――この1時間だけでもう何十回もした顔だけど――ばんざいをした。

「お、落ち着いて、もう一度、解こう?」

作り笑をして、問題集をシャーペンでコツコツと叩いてみせる。
彼はしばらく頭をかいていたけど、突然ニッコリと笑った。

「……?」

「うん、俺、頑張る。お前のこの愛があれば頑張れるさ!」

「は?」

なに言ってるんだろう、彼?



……この言葉の意味と、自分の気持ちに気付くのは、もっともっと先の話。



end.
ニックネーム 由姫 at 21:12| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】

2008年07月02日

生まれ変わるなら――B

どうしてそんなに笑えるのか。
どうしてどうして、楽しそうなんだ。

彼女たちを見ていると、いつもそう思った。小さなことを大きな笑いに変えて、どんな事にも熱中できて、恋の話をする時の目はキラキラとしていて。
僕からすれば、彼女達は「オンナノコ」と言う未確認生命体の一族だ。クラスの男子どもは「オンナノコ」の観察、研究をし、結果を女子のいない放課後の教室で行う「学会」で発表する。

「俺、このクラスで一番可愛いのはやっぱしカナだと思うぜー」

「えーお前趣味ワリー。ユウナだろユウナー」

「ユウナは胸がでかいだけだろ!このエロエロ野郎!」

「んだと〜。ユウナは顔も可愛いぞ!」

こんなくだらない「観察結果」やワイ談をいつも繰り返しているが、彼らの口はいつも止まらない。

みんなみんな、「オンナノコ」の凄さがわかってない。彼女達は喜怒哀楽がはっきりとしていて、おしとやかな面もあって、それでもって明るくて、いつも輝いていて……。

それで皆、可愛いんだもんな。




……なんとなく、「オンナノコ」になってみるのも悪くない気がする。


end.
ニックネーム 由姫 at 20:39| Comment(0) | AアンドB【2連短編集】

2008年06月20日

#FF9865

太陽みたいな人になりたいなと思って

いつも笑って

泣いたり怒ったりなんてしなかった

でもよく考えたらさ

太陽だったら

熱すぎて誰も近づけないよね




ニックネーム 由姫 at 21:02| Comment(0) | ふと、哲学的な一言【言葉】

2008年06月07日

誰が為


もし自分を褒め称えるものがいたら

そいつをバカにしてやりな

自分ばかり見て周りを見失う前に


もし泣いている奴がいたら

何も言わないでおきな

他人に甘えることばかりを覚えないように


もし悪い事を勧めてくる奴がいたら

なにがなんでもやめさせな

そいつが逃れられない蟻地獄に入る前に


友達はなんの為にいる

なんで友達になったのか

誰の為に友がいる

本当の友達がいると君には言えるか?
ニックネーム 由姫 at 20:37| Comment(1) | ちゃんと前に進んでるよ。【詩】

生まれかわるなら ――G


 いっそのこと、男の子に生まれたかった。いつもそう思う。

周りの女の友達はアイドルグループや恋バナで盛り上がってばかり。テストの成績が低かったからって、「えーやばくね!?この点数!やばくね!?」とわめくばかり。どうしてなんだろう。私は普通じゃないのだろうか。
 別に私はがさつで乱暴と言うわけじゃない。ただ、「今時の女の子」らしいことに興味がないんだ。アイドルより好きな作家、恋バナより読書、はしゃぐより勉強。それってだめなことじゃないでしょ?
 でも、彼女達からすれば違う。彼女達にとって一番大事なのは恋とか青春だから、それに興味がない私は「別世界の人」。だから気がつけば、いつも一人で本を読んでいる……。
 寂しい寂しい寂しい。心の中で叫んでも、声になって出ては来ない。誰も助けてくれやしない…。

ねえ、男の子だったらそう言う事考えなくて済むんじゃない?多分、私が見た感じ。男子が恋バナしてるなんて、想像できないもん。

だから、さ。私、男の子になりたいよ。





Bへ続く.
ニックネーム 由姫 at 20:15| Comment(0) | AアンドB【2連短編集】

2008年06月03日

歩調合わせてよ


「……ちょっと」

「ん?」

あいつは気だるそうに振り返る。

「足、速いんですけど」

ついさっきまで隣で歩いていたのに。あっというまに1メートルの差。
こいつは凄い足が長い。だから、歩幅がありえないほどに大きいのだ。
それに対し私は中肉中背。彼の歩幅に合わせようと大またに歩いても、追いつききれないのだ。

「ああ、ごめんごめん。なんか、つい」

苦笑いしながら私が追いつくまで止まっている。なんか、腹立つな。前からこれ、何回も繰り返すんだもん。

「あのさー」

「何?」

「少しは勉強してくれないかな」

「何を?」

「もう少しゆっくり歩くってこと!」

私が少し怒って彼を睨むと、彼は眉をちょっと傾けて笑った。

「だって、恥ずかしいだろ」

「は?何が?」

「俺達なんか、彼氏と彼女みたいにみえるじゃんか」
 
「え」

硬直。え、そんな風に見える?だったらちょっと嬉しい……って何考えてるんだ私。頭に浮かんだ空想を振り切ってみせる。

「でも、まあいいよ。お前が並んで歩きたいっていうなら。俺はこれからちゃんとあわせるよ」

なんだか憂いをおびた笑顔が胸をきゅっと締め付ける。

「うん…ありがと」


……これからは、私も背をのばす努力をしようかしら。




end.
ニックネーム 由姫 at 20:57| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】

2008年05月28日

雨の中、二人

ザバザバザバーー!!!
信じられないほどの土砂降りに、叫びながら近くの公園の木の下に逃げ込むしかなかった。

「イヤー!何で雨なんか降るのー?」

いくら木の下と言えど、葉っぱと葉っぱの間を伝った大粒が、ちらほらと落ちてくる。まだ梅雨入りには早いと思ってたんだけどね。悲惨だよ、悲惨。暑いしジメジメしてるし。

「しらねーよ。さっきから空模様悪かったし、なんとなくわかってたじゃん」

私の隣で彼は、部活用のエナメルバックからタオル取り出して、空を見上げている。
彼は背が高い。しかも部活ではエース。同じクラスだから、よく前から話してはいた。
でも、一緒に帰ることになったのは、これが初めて。理由は、ほんとに、ちょっとしたこと。他愛もなさすぎて、話したくないほど。

「あ、私もなんか拭くもの――ってあぁぁぁあ!」

ポケットから取り出したミニタオルは、悲しくも、泥でべチャべチャの水溜りへ真っ直ぐダイブ。白いミニタオルが。茶色いミニタオルに。

「う、わ。最悪」

汚くなったミニタオルの端をつまんでいると、肩に長いタオルが軽くかかる。
彼のスポーツタオルだった。心なしか、暖かい。
驚いて彼を見ると、彼は照れ気味に言い捨てた。

「俺はいいから、使えよ」

「え、でも」

「いいから」

自分の髪から雫を落としながら、彼は濡れてしまった眼鏡を取って袖で拭いている。私はそれをじっと見つめていたが、彼が突然「あっ」と言ったため、ビクッと肩を震わせた。

「…言っとくけど、においとか嗅ぐなよ」

「は?何でよ」

「だっ……だって、汗臭いだろうから……」

最後の方はもごもごして聞き取れなかったが、何が言いたいかはよくわかった。コイツ、可愛い奴じゃない?こんなに耳真っ赤にしちゃって。

「わかったよ」

私はタオルで濡れた腕などの雨粒を拭き取る。その様子を、彼は黙って見ていた。

「あ、そうだ」

不意に、思い出すこと。

「続き、やろうよ」

「あーそうだな。まだ、途中だったっけ」

「えーっと確か、『オーストラリア』で止まってたよね」

そう、私達はしりとりをしていたのだ。お互いしりとりの負け知らずを自負するだけあって、もの凄く長引いているけれど。途中で中断するのがあまりに歯がゆかったから、一緒に帰ってきたのだ。

「うーんと、ア…ア…。『アイス』。ほら、次『す』で始まる言葉だよ」

私が言うと、彼は首を傾げ、「『す』で始まる言葉まだあったっけ?」と唸っている。なんだか、こんな時でもしりとりができるなんて、我ながら凄いって感じ。どうして、こんなに自然に彼と一緒にいられるのだろう。

「あ、あった」

「何?」

「好き」

一瞬だけ雨の音が聞こえなくなる。彼の頬が紅く染まっていくのがスローモーションでわかる。私はその瞬間の鼓動に身をまかせ、『き』で始まる言葉を続けた。

「『キミが好き』」




end.
ニックネーム 由姫 at 21:11| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】

2008年05月12日




子供はよく泣いて育つとか言うけどさ

大人は泣いても成長できないのかな

人間自体が泣いて成長するんでしょ?

だからさ

大人はとか子供はとか言うのはやめたら?

そこの大人のふりしたキミに言っているんだけど

ニックネーム 由姫 at 20:53| Comment(0) | ふと、哲学的な一言【言葉】

2008年05月01日

気になって仕方がない! ――B Side


最近、彼のことばかり見てしまう。見たくないのに、見てしまうのだ。
席が前後なものだから、どうしても目がそっちに行く。

ああ、見ているだけで胸がきゅっとして、顔が熱くなる。手で触れてしまいたい。でも、ダメダメ。そんな事、できない。

なんだか自分が彼をストーキングしてるみたい。嫌だな。最近、ずっと見ていると突然振り向いてきたりするようになったし。やっぱり気付いているよね……。

でも、でも、でも!どうしても見てしまうんだよ!




彼のサラサラの髪の毛!!!



誰にも言った事ないけど、私はもの凄い髪フェチだから。あの、女子でも滅多にいないサラ髪をみると、もうたまらない。う〜…。


ああ、もうこの気持ちをどうすればよいのやら。

……こんなに気になって仕方がないというのに。




end.


Title by…架空少年
ニックネーム 由姫 at 20:05| Comment(2) | 夕立後に会いましょう【短編集】

2008年04月30日

気になって仕方がない! ――A Side


なんなんだ、なんなんだ。

俺の背中に突き刺さる視線。じわじわとくる熱気。おいおいおい。
なんだよこの視線は。授業に集中できないだろ?

我慢できなくなってガバッと振り向くと、あいつはすぐさま横を向いて「私は今まで窓の外を見ていたのよ?」といった表情。全く……。

始まりは2週間ほど前。どこかから視線を感じるようになったのだ。その犯人があいつ。さっと振り向けばいつも目が合った。
で、最近の席替えであいつは俺の後ろの席になってしまい、ますます視線が感じられるようになってしまったってわけ。

友達は「お前の事好きなんじゃね?」とかなんとか言ってたけど、本当かな?あいつ結構可愛いから、それはそれで嬉しいけどなぁ。

でも、この視線は嫌だな。ああ、なんとかならないのか。
なんでもいいから、この視線の理由をはっきりしてほしい。

このままじゃ、気になってしょうがないじゃないか!



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Title by…架空少年
ニックネーム 由姫 at 21:26| Comment(0) | 夕立後に会いましょう【短編集】