目の前には、問題集やノートが広がっている。そのうち8割近くは理科であり、あとは数学と少しの英語。
「なあ〜やっぱりわからないよ」
ベしゃっとうつぶせになる彼を見て、ため息がでる。
「わからないって言っても、追試はもう逃れられないんだから。もう少しだけがんばろ、ね?」
そう言って励ましてはみるけど、膨れた頬はなかなか空気が抜けない。
彼のふてくされの理由。それは、この前のテストで追試を食らってしまった事だった。彼はそれを知ると、すぐさま私の前に現れた。そして直角に腰を曲げ「俺に勉強を教えてくれ!!」。だと。
だから今、放課後の教室で教えてあげているわけ。だけど追試を受けるほどあって、なかなか教えた通りに解いてくれない。
「……俺、きっと脳みそが普通の3分の1ぐらいしかないんだよ」
「なに言ってるの?それよりほら、ここプラスとマイナス全部反対」
「えー!」
彼はトンカチで頭を殴られたような滑稽な顔をして――この1時間だけでもう何十回もした顔だけど――ばんざいをした。
「お、落ち着いて、もう一度、解こう?」
作り笑をして、問題集をシャーペンでコツコツと叩いてみせる。
彼はしばらく頭をかいていたけど、突然ニッコリと笑った。
「……?」
「うん、俺、頑張る。お前のこの愛があれば頑張れるさ!」
「は?」
なに言ってるんだろう、彼?
……この言葉の意味と、自分の気持ちに気付くのは、もっともっと先の話。
end.










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